前の記事ではC2C(個人間取引)の危険性について書きましたが、今回は現在の「C2Cサイト」の問題点について斬り込みたい!と思います。
先にも述べた通り、C2Cには現在「法整備」がないため、利用する場合は「自己責任」を強いられますし、完全に「取引相手のモラル」に頼らざるを得ません。
よって私達は、いつ何時トラブルに見舞われるか分からない、というリスクがあります。そしてそれは「取引相手」に限った話ではありません。
C2Cのサービスを提供している事業者…つまり「サイトの運営者」にも全く同じ事が言えるのです。
もしも彼らのモラルが私達の想像以上に低かったら、そのC2Cサイトは非常に危険極まりない「無法地帯」という事になります。
私はとあるサイト運営とやり取りをした事で「これじゃ(このサイトに)アリエク犯がゴロゴロいる訳だわ!」と痛感させられました。
彼らとしては、サイトの運営維持のため奔走しているだけなんだと思いますが、その結果としてグレーな販売者をのさばらせてしまっているようでは、本末転倒です。それを「C2Cサイトなんだから仕方ないだろう」と開き直っていたら、ますます始末に負えませんよね?
結果的に「購入者が一方的に被害を被った」上で「自己責任の一言で片づけられてしまう」事になるからです。
という訳で前置きが長くなりましたが、斬り込み開始です!
●C2Cサイトという事が分かりずらい!
あえてそうする事で、利用者の敷居を下げているのだろう…と思いますが、一部のC2Cサイトがファッション・雑貨サイトのような「お洒落な装丁(サイトデザイン)」をしている事で、利用者に「普通の通販サイト(B2C)」だと勘違いをさせてしまっているのは紛れもない事実です。オークションやフリマのような分かりやすいサイトであればともかく、ネット初心者なら「個人間取引」という言葉すら知らないかもしれません。
なにせ何度も同じサイトを利用していた私ですら、うっかり失念してた位ですからね…。
個人間取引はあくまで「取引」であって、通常のお買い物ではありません。法整備がないのであればなおさら、利用者に「きちんとした説明」や「注意喚起」をすべき所です。
なのに、そこを逆手に取るようなサイトの造りをしていたら…やはり駄目ですよね?
極端な言い方をすれば、サイト自体が利用者を騙しているようなものです。その上で「自己責任」の言葉を利用者に押し付け、悪徳販売者を取り締まろうともしないというのは、大変無責任な話ではないでしょうか?
近年、詐欺販売者ほど「お洒落なサイト(販売ページ)デザイン」で利用者を騙そうとする傾向が見られますので、くれぐれもご注意下さい。
●販売業者(B2C)の混在
近年フリマサイトなどでも「個人」以外の出品者が、当たり前のように「混在」するようになりました。「ストア」や「ショップ」と呼ばれる「販売業者(B2C)」です。
また、こういったサイトでは以前から「個人として出品している販売(サービス)業者」や「事業者から販売を委託された個人」が存在していたり、近年せどりビジネスなどの「個人事業者」が激増した事で、自分の取引き相手が、事業者なのか個人なのか?見分けがつかない「カオス状態」になっている、と言えます。
大きな問題点としては「個人アカウントで出品している事業者」に至っては、個人と同じ「匿名」で取引ができてしまうという事です。
事業者出品(B2C)については「特定取引法に基づく表記」を義務としていたり任意だったり…サイトにより対応がまちまち。また「海外からの(越境)出品」を許可しているC2Cサイトもあり、さらに「取引相手がどこの何者だか全く分からない」状況だと言えます。
こんな出品者カオスの状況が「アリエク転売」のいい隠れ蓑になっており、彼らの存在を許してしまっている…という訳なのです。
また、こういった「登録アカウント」が裏で売買され、詐欺販売などに利用されている事はご存じの方も多いかと思います。
フリマなどの大手C2Cサイトはその対抗策として、近年「本人確認」をガシガシ推奨しているという訳ですが、本人確認ができているからといって相手が「善良な人」だとは限りませんよね。
私のアリエク犯も「本人確認ができている」と運営から言われて終わりました…。
そのC2Cサイトが「どれぐらい本気で悪質販売を取り締まろうとしているか」によもりますが、それを言い訳のためにしか使っていない怠惰なサイト運営も実在している訳で、そんな所では本人確認なんて「何の判断材料にもならない」という事です。
実情としては、サイト運営者も登録アカウントの真偽を把握しきれない…といった所なのでしょうが、そもそもそういう事態になっているのは、彼らのやり方に問題があるという事です。
メルカリやヤフオクのように「個人出品」と「B2C出品」の区分を「利用者が把握できるよう」明確にする事、B2C出品者においては「特定取引法に基づく表記」の徹底、事業者のなりすまし個人登録や、個人アカウントにおける悪質販売の取り締まり強化は、サイトの最低義務ではないか?と考えます。
とは言え、根本的な問題として「C2Cサイトはそういう場所」なので…残念ですが、まずは利用者の私達が注意深くなるしかありません。
●販売品目の拡張と拡大解釈
これは上の項目にもつながる話ですが、私が一番問題視している「ハンドメイド系C2Cサイト」では、開設当初より「販売可能な品目」が拡張されました。
元はハンドメイド作品一択だった所を、作品素材にまつわる「製作用の工具類(市販品)」を平行販売可能とした所から始まり、現在では「OEM・ODM製品」といった「オリジナルの量産商品」まで販売できるようになっています。
OEM製品とは、既製品に自分のブランドロゴを印刷したりタグを付け替えたもの。
ODM製品とは、既製品のパーツや素材を一部変更しアレンジを加えたもの。
いづれもそうする事で「オリジナル商品」に仕立てた既製品の事です!
元となるノーブランド製品に「オリジナルのタグ」を取り付けてもらえば「オリジナル商品」の一丁完成!これを「自主ブランド品」として堂々販売できてしまう、という事です。
時代の変化…とも言えなくはないですが、もはやこんな商品をハンドメイド作品と一緒に並べて販売するなど、一体どういう神経をしているんだ…?という感想なのですが(怒)もうお気づきの方もいらっしゃいますね?そうです、これが「アリエク転売」の絶好の隠れ蓑になってしまっているんです。
たとえばAmazonで小型家電を探していると、全く同じ海外製品なのに「印刷されているロゴが違うだけ」というものが沢山並んでいます…要するにこれが「OEM製品」です。しかし実際、こういったものを購入してみるとロゴなんか印刷されていなかったりする訳でしてw…なので正確には「OEM製品もどき」になる訳ですが、まあ安いですし、中身は一緒なのでとりあえず使えれば良し、としている購入者も実際多いかと思います。(これを詐欺商品と思うどうかは微妙な所)
これと同じ事が、アパレル製品などでも行われており、近年日本の市場に大量に安く出回っているという訳なんですね。…ただし、これはあくまで通常販売(B2C)サイトでのお話。
「アリエク転売」は、まずこれらの元となるノーブランド商品を「ハンドメイド・オーダーメイド作品」と装い「ぼったくり価格」で出品する訳ですが、そうでない事がバレると次にこれは「OEM製品」だと主張して、サイト運営から「違反認定」の難を逃れます。
もちろん「アリエク転売品」が「OEM製品」などである筈がなく、ただどこかで安く仕入れたノーブランド品を転売しているだけなんですが…上記の通り、市場には「OEM製品&もどき」が大量に出回っているため、サイト運営も簡単に「商品の真偽の判別がつけられない」という訳です。
だからと言って、そんなグレーな商品販売を許可してしまうなんて、信じられない話ですよね!
どうしてこんな事になってしまったのかと言えば、サイトが売上向上のため、商品メーカー(B2C)誘致に伴い「販売品目を拡張」した事と「作品定義」を拡大解釈した事が原因です。
その昔、たとえば既成品のスマホケースやスニーカーなどに「デコレーション」を施したものは、ハンドメイド作品として売ってもいいのか?といった「ハンドメイド作品の定義」から始まった議論は、販売メーカー(B2C)をサイト誘致する段階で「オリジナル性」の話にすり替わりました。
メーカー商品を売るためには、当然「量産品」や「工場製品」の販売を可としなければならず、そうなると、これまでの「ハンドメイド作品の定義」から外れてしまいますし、B2C販売には「特定取引法」も関わってくるため、これまで通りの販売が出来なくなってしまいます。
そこで彼らは「オリジナル商品に限定すれば、これまでの定義から大きく外れないだろう!」という拡大解釈を行ったのです。
よって「ハンドメイド作品の定義」は「オリジナル商品の定義」に変貌を遂げました。
その結果として、現在のハンドメイド系サイトでは「オリジナルをうたった量産品」を販売している個人か事業者か分からない出品者でひしめき、それを偽装した「アリエク転売」が横行しているという訳なんです。
こういった経緯で、購入者の元に届いた商品を「ただの市販品だと証明する事の方が難しくなってしまった」ため、サイト運営者が「詐欺販売者を放置する結果となってしまっている」というのが「アリエク転売の実情」です。…なんとも情けない話ですね!
私にはサイト運営が「これを口実にアリエク犯を放置しているだけ」としか思えません。
そんなグレーな販売を「詐欺」だと確信し咎められる人は、皮肉な事に「被害者」以外誰も居ないという事なんです…。
●ビジネスライクな心無い対応
もはやこれは「経済優先」「訴訟社会」な時代を反映している…とも言える事ですが、一番腹立たしいのは、利用者に「ビジネスマンの自分達と同じ」理解・知識共有を求めるサイト運営者です。
詐欺にあったという購入者に対し「特商法」を持ち出してきて「これは詐欺販売とは断定できない」とだけ説明された購入者が「はいそうですか」と納得できると思うでしょうか?
事の真偽はともあれ、まずは謝罪じゃないの?と私なんかは思ってしまうんですがね!
まるで他人事!自分達のサイトで「販売」をやらせておきながら、クレーム・被害報告してくる客の状況や気持ちというものがちっとも分かっていません。
さらにその「グレー販売の容疑者」について、「個人情報保護法」の観点から(誤解を解くためのすら)説明は一切なし、さらに「法律的に違法じゃないから」一切ペナルティなし…なんて本当に考えられない話です。
彼らに悪意はないのでしょうが、販売経験のある私に言わせれば、販売に携わる人間として「一番やってはならない対応」です。…まあ、彼らはネット事業者で販売業者じゃないから分からないのかもしれません。ただ、自分が「利用者の立場で同じ目に遭ったら」一体どう感じる事でしょう…?
すんなり納得できる筈がないでしょうし、逆に「こいつら犯人の肩を持ってやがる!?」と絶対に思う筈です。
確かに様々な知識や教養を一個人に求められる時代ではありますが、サービスを提供する立場の人間が「お客さん」に対して、逆の立場の自分等と同じ知識や理解を求めたり、そうあるべきと考えるのはおかしな話です。C2Cサイトだからと言って「ずさんな応対」が許されるというものでもありませんし、ましてや都合の悪いところだけ「法律」をちらつかせるなど、口封じのため客を脅すに等しい行為だと言えます。
C2Cの販売網は年々拡大しており、対面販売の経験のない個人事業主も増えている事から、こういった「心無い」応対が今後増え続けて行くであろう事は確実です。
これもC2Cの匿名性やネットの非対面性が起因する問題だと思いますが、なんか殺伐として本当に嫌な世の中になったなあ…とお茶を濁して今回の記事は終わりにしたいと思います。
いかがでしょうか?
ただ純粋に「運営維持のため」サイト運営者が施した策が、想定外に「アリエク犯」に恩恵をもたらしてしまっている。という事なんだと思います。
しかし被害者からすれば、売上策に溺れて被害対策を講じず、詐欺販売を放置する事は「詐欺幇助」に等しい行為です。ましてや購入者より出品者が優遇されるなど、勘違いも甚だしい所…!
購入者あってのサイト運営じゃないの?と、今一度考え直して頂きたい所ですね。
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